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F1 本物か? ブラウンGP [モータースポーツ]

F1もバルセロナ・テストが終了。 一部のチームは来週再びヘレスに行って、最終テストを行うようですが、ほとんどのチームは開幕に向けての荷造りを始めているとこだと思われます。 今回のバルセロナでおぼろげながら見えてきたのは、フェラーリは相変わらず好調。 ひょっとしてトヨタ速くね? マクラーレンって本当に遅いのかも... しかし最大のサプライズはブラウンGP。 数日前までチーム滅亡の恐れさえあったのに、走ってみれば最速。 予選シミュレーションでもロングランでも、そしてバリチェロが乗っても速いという驚異のパフォーマンス。

一説には昨年早々から'08年シーズンをあきらめて'09年車の開発に集中したおかげだとか、メルセデス(イルモア製だけど)のエンジンのおかげだとか言われています。 なんでもホンダエンジンとメルセデスエンジンの馬力差が60馬力くらいというフィット一台分あるんだそうな。 そういや、昨年の富士のストレートでビュンビュン抜かれまくってたもんな。 でも大方の評価は、”軽い"からだろうというものです。 F1は重量による性能差が、10kg当たり0.2~0.3秒くらいあるといわれており、ほぼ空タンクの状態で走るQ2のタイムに比べ、決勝用の燃料を搭載して走るQ3のタイムが1秒くらい遅いのはそのためです。

で、ブラウンの場合、燃料を軽くしているのではなく、車体につけるバラストを相当降ろしているのではないかと疑われているわけです。 F1は規則で、ドライバーと車体の合計重量が600kg(605とかいう話もあるが、まあだいたいそれぐらい)なくてはいけませんが、今のF1は規則よりも100kgぐらい軽く出来ているのだそうな。(KERS搭載車を除く) 600kgでいいんだから何も無理して軽量化、軽量化イワンでもいいんとちゃう?という意見はもっともですが、F1にしろ何にしろ車は軽いのはもとより、重心位置(上下方向)が低い方が安定して速く走れるのです。 ですから、レーシングカーはクルマが軽く出来た分のおもりを、車体のなるべく下側に付けています。 また、F1はエンジンやギアボックスなどの重量物が車体の後ろに偏っているため、おもりはなるべく車体の前側に載せて、前後の釣り合いを取っています(前後方向の重心)。 最近はかなり前よりに重心を寄せる傾向があり、フロントのウイングの中には相当なおもりが入ってるんだとか。 F1のフロントウイングのアップを見ると蓋がついているのがわかりますが、あれはおもり入れなんですね。

説明(誰のための?)が長くなりましたが、ブラウンはこの重心調整用のおもりを必要最低限まで減らしてきているのではないかというのが大筋の意地悪な見方です。 でも、何のため? それはスポンサー獲得のためのアピールです。 ホンダの(関係者への事前説明もない)突然の撤退によって、チーム存続さえ危ぶまれたブラウンGPですが、まだメインスポンサーがおらず、このままではシーズン最後まで活動できないのではないかといわれています。 仮にシーズン後半まで参戦は出来ても、クルマの開発は途中で止まることは必至。 バトンが”クルマは速いが開幕から3~4戦で追いつかれるだろう”と言っているのはこのことです。 首がつながったとはいえ、現在のブラウンは昨年のスーパーアグリと同様の状態なのです。 F1のメディアではブラウンを気遣ってか、あるいはFIAかバーニーの圧力があるのか知りませんが、この辺の事情はかなりぼかして書かれています。 でも、メディアののみの心臓のような良心がそうさせるのか、最近の周辺記事にはさりげなく関連するような情報(先のバラストの話とか)が散りばめられています。 この”軽い”説はかなり納得できます。 というのも、そもそも空力とかの影響をなるべく減らすように考えられた今年のレギュレーション。 遅いといわれるマクラーレンを含めても、各車の差が非常に少なくなっている中であのタイム差は尋常ではないからです。

私はこれに、ホンダの事情が加わっているのではないかと邪推しています。 HONDAはみぞうゆう...じゃない、未曾有の経済危機の中でやむなく撤退するのであって、けっして技術的に敗北したからでも、ましてや現地人のコントロールに失敗してにっちもさっちも行かなくなったからではないんだと。 ”技術的にはすごいけど、ちょっと政治が苦手なの、てへっ[黒ハート]!” ”HONDAおしかったなぁー、あのまま続けてたら連戦連勝やったのにぃ”というような情報操作をしたいHONDAからの強いリクエストがあるのではないかと思っています。 チームを手放したのにそんな影響力があるかって? それが譲渡条件の中に入っているとしたら? そして、それが当面の運転資金を担保してやる条件だとしたら?

実はF1の歴史をひも解くと、過去に似たような事例が(私の知る限り)少なくとも一回あります。 それをやったのが”第3期”前のHONDAなのです。 時に西暦1999年、ホンダはシャシーとエンジンをすべて自前で開発するオール・ホンダ体制でのF1復帰を目指し、イタリアのダラーラ社にRA199というマシンを製作させ開発を進めていました。 その単に開発用でしかないホンダ(ラーラ)RA199が、とあるテストで今回のようにトップタイムをたたき出したのです。 巷では、「さすがホンダ、スゴイ! ホンダ マンセー!!」という楽観論が主流でしたが、「いや、あれはホンダ本社に決断を促すためのパフォーマンスだ」という穿った見方も少数ありました。 実は当時ホンダ社内では、オール電化じゃない、オール・ホンダ体制での参戦を目指す急進派と、エンジン・サプライヤーでいいじゃないかという穏健派による激しいつばぜり合いというか、権力闘争が行われていたからです。 

しかし、当時このテスト結果を見た私は、”ああ、もうオール・ホンダでの参戦はないんだな”と確信しました。 まじめにシャシーを自社開発しての参戦を目指すのなら、わざわざアンダー・ウエイトにしてまでトップを取りにいく必要はないからです。 要は、”諸般の事情で車両開発は中止したけど、技術じゃまったくひけを取らないんだHONDAは”、”HONDAがあのまま参戦していればすぐに勝てたのに...”、”ポストレスウエイトが死んでいなきゃHONDAは勝っていたのに”、という(まるで”烈風が完成していたら日本は勝った”というのと同じ)”伝説”が作りたいだけなんだなと。 

案の定、後日HONDAはBARへのエンジン供給という形でのF1復帰を発表しました。 最後までRA199の開発に尽力していたローカルスタッフには(今回と同じように)事前の通達はまったくありませんでした。 ちなみにオール・ホンダでの参戦を期待していたFIAとバーニーはこの決定に大いに憤慨し、後の車両規則違反問題+モナコGP出場停止につながっていったとのことです。

いずれにせよ、同じ事を繰り返してんじゃないかこの会社は?! ”夢と感動”を与える元気な企業という幻想にも似たイメージを守るためだけに、いったいどれだけの人が苦しめられてきたのか? Fポンに新規エンジンメーカーが参入可になったとき、どうして7割ものチームが実績のあるHONDAでなく新参のTOYOTAに移ったのか?

 

まあ、以上が私の邪推なんですが、これがメルボルンに行って本当に速かったら... そのときはブラウンGPの皆さん、バリチェロさん、HONDAの皆さん、ごめんなさい。 はやく来い来い開幕戦。


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